映像製作集団「空族(くぞく)」の得体の知れない熱気を感じ、
plants裏鑑賞部部長は渋谷のユーロスペースで上映中の映画
『サウダーヂ』を観に行った。
空洞化が進む地方都市、山梨県の甲府を舞台にしたこの映画に
描かれているのは、安い賃金で苛酷な肉体労働に励む土方の派遣労働者や、
家族を養うために日本で働くタイ人、不況のあおりを受けて仕事を失い
故郷へ帰らざるをえなくなった移民のブラジル人など・・・
徐々に追い詰められ、怒りをどこにぶつければいいのかわからない。
そんな、生きづらさをヒリヒリと感じている人たちの映画だ。

暮らしている環境や国籍、仕事の状況は違えども、
それは、今という時代を生きる自分自身の危うさを映し出す鏡のようである。
劇中に出てくるヒップホップのリリックが、いちいち胸にチクリと刺さる。
「おまえら、どこで、どうやって生きていくんだ?」と最初から最後まで
なじられているようで不快だし、わけもなく怒りがこみ上げてくる。
映画を観終わった後の会場がそれをもの語るように、
独特の雰囲気に包まれながら、みんな無言で重い腰を上げ、
自分が置かれている現実へ、仕方なく帰って行くように見えた。
『サウダーヂ』は、ポルトガル語で郷愁、憧憬、思慕、を意味するというが、
その名のとおり重々しく、もの悲しい気持ちのまま映画館を出た。
秋の街を歩けば、何ごともなかったかのように秋一色。
黄色く染まったイチョウ並木が、
ささくれた心をやさしく包んでくれるようで、少し安心する。
だが、そんな美しさもつかの間、足元を見るとほんのりオレンジに色づいた
「ぎんなん」の実が一面に落ち、つぶされ、恐ろしい匂いを発している。
わずかに「ぎんなん」に汚されていない、安全なスペースを注意深く
選びながら足を進めるのだが、そんな抵抗も空しく、うっかり踏みつけ、
どうにもこうにも逃げ切れない感が漂い始める。
そして、危うい匂いをうっすら靴裏に付けたまま家路に着く、やるせなさ。
『サウダーヂ』を観た人だけが体験する、この「ぎんなん」にもよく似た
黄色い憂鬱と、すごい映画を観てしまったという優越感を
同時に噛みしめながら、plants裏鑑賞部部長は、今年の秋も懲りずに、
「ぎんなん」だらけの危ういイチョウ並木を歩くだろう。
コメント
Super excited to see more of this kind of stuff olnnie.
Frankly I think that's aboslultey good stuff.
What a great rseource this text is.