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2010/2/8



 思えば冬至をやり過ごした瞬間、植物はほっと胸をなでおろすのではないか。もちろん胸があればの話だし、“ほっ”と吐いたのは人と違って酸素である。

 12月後半、夜が最も長くなる日。そこを乗り越えれば太陽はまた力を増す。ちなみに、ゆえにこそのクリスマスである。少なくとも大昔の人間は「ほっと胸をなでおろ」したのだ。

 で、今年はこうした考えに加えて旧正月のことを考えるようになった。つい先日、気のおけない仲間と台湾格安チケット旅行をし、現地で旧正月、つまり春節の躍動をまのあたりにしたためである。

 我々が台北市に着いた日が確か満月の翌日であった。満月の日から15日間をかけてチャイニーズは正月の準備をする。そのための市が立つ。15日後の新月まで。

 つまり、正月とは冬の闇のことである。冬の闇から月光がさし始めることをもって、新年とする。すでに太陽は力を取り戻している。あとは月が生まれ変わるだけだ。

 植物もおそらく同じリズムを持っている。俺はこれまで太陽との関係ばかりを考えていたのだが、今年は月のことに思い至ったのである。なぜなら、まさに1月の末、冬の満月が始まった頃、我が家のベランダでも新春の芽吹きが開始されたからだ。

 ボケはいつも一番乗りである。蕾が赤くふくらんで花を用意し、その周囲に丸い葉が飛び出す。どうも俺にはそのタイミングに月が関係している気がしてきたのだった。

 太陽暦と太陰暦で人間は混乱をきたす。
 が、植物から時を見ればなんのこともない。
 おそらく彼らの暦は大変複雑で、しかし現象面だけ取り上げていけばシンプルこの上ない。

 二十四節季がすべて植物に関係して創造された意味を、俺は今、理解出来たように感じる。




$readymade by いとうせいこう-ボケ






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